こんにちは。加工場のヤマダです。
いよいよ、夏の暑さになってきましたね。熱中症には気を付けください。
今回は、木工の加工技法のひとつ「契り」のお話を、お久しぶりの「OK-DEPOT木工部」活動報告と合わせてしていきたいと思います。活動はしていたんですよ(汗)地味目な作業が多かったもので、ブログの間があいてしまいました。ちなみに、知らない人もいると思うので説明すると、趣味でもOFFの時間を利用して、個人的に大好きな木工を楽しみ、いろいろな加工法とかにチャレンジしながら、製作活動をしているのが「OK-DEPOT木工部」です。非公認、所属1名ですが(汗)。
皆さんは「契り(ちぎり)」というものをご存じでしょうか?
「契り」や「千切」、「チギリ」……形によっては「蝶々」、「おしゃぶり」など、意味が同じですが、表記の仕方、呼び方も色々あります。
簡単言うと、割れているところや、接ぎ合わせている部分に蝶ネクタイ(逆向きの台形をつないだもの)のような形の木片を埋め込む技法で、その木片を埋めることによって、割れをこれ以上広がらなくする効果や、接ぎ合わせを強固にする効果が期待できます。下の画像が一般的な形のものです。
見たことありますよね?
これはただのデザインで入れるものではなく、れっきとした木工技法の一つなのですが、カッコイイと思いませんか?まさしく用と美を兼ね備えた技法だと思います。最近では割れとか関係なく、デザインととして入れてる場合もありますね。
今回はその「契り」を加工しました。
最近結婚した知人がいまして、結婚祝いを何にしようかと考えていたのですが、ちょうど手持ちの木材の中に、少し小さめな一枚板があり、それをプレゼントすることにしました。久しぶりに派手目な、ちょっとボリュームのある「OK-DEPOT木工部」の活動です。
NCはないので、久しぶりに幅広材の平面出しを電気カンナを使って原始的に行い……って画像がない(汗)撮ったつもりだったのになぁ……
まぁ今回の本題は「契り」なのでお許しを。
割れを補修し、「契り」を入れるための孔を掘ります。墨内で掘るのがポイントです。鉛筆とかで掘りたい形を描いたとき、線に太さがありますよね。その線の内側を掘るか、外側を掘るか、ど真ん中を掘るかによってほんのわずかですが、孔の大きさに違いが出てきます。その大きさの違いを、適材適所、加工法によって使い分けています。ちょっとマニアックな話になりましたね。
現物の契りより、ほんの少し孔の方が小さいので、入り面を取り、叩き込みます。この固めのはめあいが「契り」を効かすポイントです。「契り」は一枚板の樹種(モンキーポット系)と違う硬めな樹種(今回はウエンジ)を用い、色も違うことでアクセントにもなっています。
使用した板には、割れがありました。割れを単純に欠点と捉える考え方もあります。でも私は、特に一枚板に関して言えば、その木の歴史や、個性と捉える考え方もできると思うのです。
そして、今回あえて割れを切り落とさず、わざわざ「契り」を入れました。そうしたことには理由があるのですが
最後に、その理由を今回のお話のまとめとし、その知人に贈る言葉にかえさせていただきたい思います。
この木工の「契り」は、2つの分かれている部分を引き寄せあう形をしています。
『二世の契り』という言葉があります。現世のみならず、来世まで夫婦として連れ添おうという約束の意味を表わす言葉だそうです。その思いを込めて、「契り」を加工しました。
末永くお幸せに!!
開発課 加工場 ヤマダ