研修生指導ーー丸鋸使用の注意点

研修生指導ーー丸鋸使用の注意点

投稿日:2016年05月27日 カテゴリー:施工事例 | 雑談
ID:37751 投稿者:建材事業部 流通課

 

丸ノコとは名前のごとく、丸いノコギリの刃を高速回転させ木材などを切断する電動道具です。現場などの木作業によく使用される便利なパワーある道具です。

丸ノコ定規を使用することにより、手動のノコギリよりも正確にスピーディーに直線をカットすることができます。また刃の角度を変えれば傾斜切断も可能です。しかし危険が大きい工具の1つのため、正しい使い方をしっかり学んで使用することが大切です。

前日、OKUTA物流センターで丸山常務が新入研修生に丸ノコの使用について指導を行いました。

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丸鋸の後ろに体をおかない。

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体をよけて丸鋸を扱う様にする

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丸ノコの定規を材料脇に少し押し当てる気味で進める

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回転スピートに応じてスムーズに進む

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最後の部分に進行方向を意識しながら少々ゆっくりと切り収める

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元大工キャリアでの豊かな作業経験により、丸山常務は丸鋸使用の注意点を下記の要領にまとめました。

丸鋸使用時の注意点

 ●安全第一 けがをするケースを防止

①丸鋸使用時は、キックバックを常に意識する。

②丸鋸の後ろに体をおかない。(キックバック予防)

③丸鋸の進行方向に手をおかない。

 特に小さい材料を切る場合に気をつける。

作業・設定注意点:

 1)丸鋸の刃をを出しすぎない。(材料の厚みプラス3㎜程度を目安)

2)丸鋸の台座が曲がっていないか確認する。台座が曲がっていると引っかかりキックバックする。

3)コードの配置が邪魔になっていないか確認する。コードが引っかかり曲がってキックバックする可能性あり。

 4)切る場所と材料の支持している場所を考える。切った際に材料が谷折にならない様に、台木(当て木)を配置する。

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 5)丸鋸の真後ろに体が来ない様に体をよけて丸鋸を扱う様にする。常にキックバックを意識する。

 6)曲がって切るとキックバックする場合がある。変な方向に力をいれると曲がる場合があるので、進行方向にまっすぐ丸鋸を押していく事を意識する。

7)反りによって固くなる場合もある。その際には楔等で広げ、丸鋸がスムーズに進む様にする。

 8)切っている最中に丸鋸が前に進みづらくなった場合、無理に切ろうとせずに一旦停止しなぜ固いか上記事項を確認する。谷折になっていないか?曲がっていないか?引っかかっていないか?等を確認。

 

参考資料 キックバックの原理

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丸ノコのキックバックは怖いです。集中している時は未だいいですが心身が疲れていると大怪我のもとになります。何故起きるかなど説明は取り扱い説明書にも見られません。私なりに考えた原理をまとめてみました。専門書にはきっと載っているんでしょうが転載・活用していただければ大歓迎です。

 2 正常に切削している時の側面図です。刃の深さを材からわずかに出るようにしているときです。 刃は図のように回転し、鋸には下向きの力が作用し、安定します。チップの先端が材を切削している限り、手前に戻ろうとする力は大きくなりません。
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上から見た図です 刃の前半分が完全に切削されていない材に支えられ。方向が安定し まっすぐ進むと同時に、キックバックしない保障になります。
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刃を出しすぎたときの側面図です。 この危険は裏に刃が出ていることではありません。 刃の前方部分で材が完全に切れていない部分(濃茶色)の幅が狭い事が危険です。このため刃の方向が安定しなくなります。
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この時の上からの図です前方での支えが少ないため刃が斜めになり易くなります。すると刃の後方部分の側面が切り離された材の切断面に当たります。 面同士の接触で強い摩擦がかかります。操作者は刃が浮き上がろうとする力を感じます。造作用など 薄い刃で刃の剛性が弱いと刃がたわんで同様の危険が大きくなります。刃が磨耗して切削抵抗が大きくなっても危険が大きくなります。丸ノコそのものの剛性が不足して刃が傾斜・振動しても同じことが起きます。安価な不良品には要注意です。
 同様の現象は材の反りでも起きます。SPFなど柔らかい材ではおきにくいですがアマチュアが急に硬い木材を切るときは要注意です。木材は切り離された瞬間に反ろうとします。その結果上の図の状況がおきます
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この力に負けると丸鋸は切削面から離れます。すると後方の接触面の抵抗はさらに大きくなります。丸ノコは後方に下がりつつ浮き上がろうとします。操作者は前に押す力はかけていますが浮き上がりに抵抗する力は余りかけておらず、とっさの浮き上がりには対応できない時があります。
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丸ノコが切削面から浮いてしまうとチップが材の表面にかかり、高速で後方に走り始めます。これがキックバックです 。後方に反対の手や足があれば大怪我をします。私が診療したキックバックの怪我は、夕方疲れて納期に追われた大工さんがつい不安定な材のおき方をし、身体や脚で材を支えながら状況で起きています。
予防は ① 安定した台に置くこと。②切削能力ぎりぎりの厚い材木は避ける。特に硬い未乾燥の材は避ける。 ③しっかりしたベースプレート(スチールよりアルミ)を選択し、丸ノコのブレを防ぐ④チップ数の多い薄い刃はたわみ易く側面接触を起こし易いので慣れるまでは避ける⑤常に直線切り治具を使い、刃のブレを防ぐ⑥刃の後方に反対の手や身体は絶対に置かない。  などが重要と思います。
 丸ノコの使用説明書は本当に簡単なものでキックバックの説明も何もありません。刃の安全カバー・LEDライトなど工夫されていますが、キックバックの予防の普及も是非ご検討ください。

 

 

 

 

嵐山 コウイチ

201605

 

 

 

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