厚労省が2003年7月に施行されたシックハウス対策法案で選定した特定13物質に加え、新たに3つの化学物質を加え新たに室内濃度の指針値を定める方針を固めた。
社会問題化した2000年前後以降、新たな物質の追加は15年ぶりとなる。
現行の対象化学物質と指針値一覧
現行では上記13物質に対して指針値が決められている。
指針値は、それ自体に法的強制力はなく、規制されている化学物質は①ホルムアルデヒドの内装使用制限と、⑨クロルピリホスの使用禁止にとどまり、他11の化学物質は建築業界の自主規制に委ねられている。
13物質の指針値が設定されて以降、建築業界などは使用を控え、これらの化学物質が指針値を超え検出されることは少なくなった。
一方で、「ある化学物質を規制すれば、別の化学物質が使われて新たなシックハウスを起こす」という「いたちごっこ」に陥るとの指摘もある。
実際に塗料の溶剤などに使われるフタル酸エステル類の代わりに広く代替として使われているテキサノールなどがシックハウス問題を引き起こすケースが報告され、規制が必要と判断された。
新規対象化学物質と規制強化対象化学物質の指針値一覧
①2-エチル-1-ヘキサノール
接着剤や塗料に含まれ、既に指針値のあるフタル酸エステル類の代わりに広く使われている。
②テキサノール
水性塗料の溶剤に使われ、オフィスなどのビニール製の床材から放散され、問題になることが多いとされる。
➂2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール ジイソブチラート
プラスチック、PVCレザーや靴等、特にソフト表面処理したプラスチックの可塑剤として使われている。
水に不溶で、高温、紫外線に強く、優れた耐久性をもっており、ビニール床材、壁紙の分野に使われています。
専門家の間では、リスクを下げるには規制化学物質の対象を増やしたり、指針値を定めることも効果はあるが、化学物質の「総量規制」が欠かせないという声は強い。今後は、室内空気に含まれる化学物質の総量(TVOC)を測定し、指針値を示すなど一歩踏み込んだ検討が必要であると思う。
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外渉課 荒木恵